成年後見制度の最新利用状況
最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況(平成29年1月~12月)より
- 費用はどれくらいかかりますか。本人負担ですか。
- 申立書類を作成する際、必要書類(診断書、戸籍謄本等)の入手に約1~2万円かかります(診断書の依頼先や、取得する戸籍の枚数によって異なります)。
福岡家庭裁判所の場合、申立書を提出する際には、手数料として収入印紙と郵便切手を計6860円(保佐・補助の場合は8700円~9500円)を納めます。申立手続きが進む中で鑑定が行われると、その費用(鑑定を行う医師に支払われるもの)として、最大10万円を家庭裁判所へ納める必要があります(これらの金額は地域ごとに異なる可能性があるため、管轄の家庭裁判所へお尋ね下さい)。
これらの費用は、原則として申立人負担となります。
- 成年後見制度を利用する人は増えていますか?
- 平成29年12月末日時点で、成年後見制度の利用者は延べ21万290人で、対前年比でみると約3.3%の増加となっています。
- 1年間のうちにどれくらいの申立てがなされているのですか?
- 平成29年の1年間で総数35,737件の申立てがされました。ここ数年は、年間の申立件数はほぼ同じくらいでしたが、平成29年は対前年比4.3%の増加となりました。
成年後見制度が改正された平成12年4月からの1年間に申立てがなされた件数は総数9,007件だったので、ずいぶんと制度の利用者が増えていますね。
- どのような人が申立人となっていますか?
- .成年後見制度を利用する本人の子が最も多く、全体の約27.2%を占めており、本人が自ら申立てたのは約14.2%となっています。
注目すべきは、市区町村長が申立てたケースが7,037件で全体の約19.8%を占めており、対前年比では約8.8%の増加となりました。
- 福岡県内だけでどれくらいの申立てがされているのですか?
- 平成29年の福岡県内の申立て件数は総数1,375件でした。
そのうち、市区町村長が申立てたのは163件です。
- いくつぐらいのかたが多く利用しているのでしょうか
- 男女ともに80歳以上がもっとも多く、男性は全体の約34.6%を占め、女性では約63.9%を占めています。
なお、後見制度を利用している男女の割合は、男性が約41.4%、女性が58.6%で、女性のほうが少し多くなっています。
- 後見人や保佐人、補助人には、そのような人が選任されているのですか
- 親族の中では、本人の子が最も多く選任されていますが、親族が選任されたのは全体の約26.2%で、親族以外の第三者が約73.8%を占めています。
第三者が選任される傾向は強くなっており、平成24年に初めて第三者が選任される割合が、親族が選任される割合を上回って以降、年々増加し続けています。
- 親族以外の第三者とは、どのようなかたが選任されるのですか
- 司法書士が一番多く、次いで弁護士、社会福祉士、行政書士などの専門家が選任されており、後見人等の仕事を専門とする法人が選任される件数も増えています。
- 申立てを行う動機はどのようなことが多いのですか?
- 申立ての動機が複数ある場合がありますが、最も多いのは預貯金の管理・解約のため、となっており、次いで身上監護となっています。
最近では、金融機関での手続きの際に本人確認が厳格となっていますので、本人が手続きをできない場合には後見人等を選任しなければ手続きがとれないケースが増えていると思われます。