みると通信:介護保険法改正について その2

第2回「介護保険法の改正で、

利用する人の生活にはどんな影響がある?」

高齢化に伴う社会的コストは増大し続けています。介護保険制度を維持していくために、公的保険を利用した専門性の高いサービスは、本当に必要な人に対して重点的に支援していく方向性が示されました。また、費用負担の増大を考慮し、収入や資産状況に応じた費用負担の公平化が図られることになりました。

ポイント1 特別養護老人ホームへ今後入居できる人は、要介護3以上
2015年4月から、入所は要介護3以上の方に限定され、要介護1・2の方は「やむをえない事情」があると認められた場合のみ入所可能となりました。(今回の改訂以前に、入所されていた方は、入所継続可能)
<やむを得ない事情とは>
〇認知症高齢者であり、常時見守りや介護が必要
〇知的障害や精神障害なども伴って、地域で安定した生活を続けることが困難
〇家族等による虐待が深刻であり、心身の安全、安心の確保が不可欠 等

ポイント2 低所得者の保険料の軽減拡大
今後は、保険料負担の上昇が避けられないため、住民税非課税世帯の保険料の軽減率が拡大します。また、所得に合わせて、標準6段階→9段階に見直され(2017年4月より実施。1部は2015年4月より実施)、低所得者の負担軽減が図られます。

ポイント3 所得が一定以上だと利用者の自己負担が1割⇒2割負担になる。(2015年8月より) 
第一号被保険者の「年金収入+その他の合計所得金額」が、単身で280万円、二人以上で359万円以上の人は、2割負担に。(利用者負担額が2割になるのは、基準以上の所得を有する本人のみ)

ポイント4 介護保険施設入所(ショートステイ利用)時の食費や部屋代を補助する補足給付の支給条件が厳しくなった(2015年8月より) 
給付の支給条件が厳格化され、資産状況の確認が必要になりました。預貯金等が単身世帯で1000万円、夫婦で2000万円を超える場合は、給付支給の対象外となります。また、今まで世帯分離により非課税になっていた方で、配偶者に十分な収入がある場合は、補足給付支給の対象外となります。さらに、2016年8月からは、遺族年金等の非課税年金が収入にカウントされる予定です。

ポイント5 高額介護サービス費の上限が引き上げ(2015年8月より)
1カ月間に支払った介護保険料が、一定額を超えた場合に払い戻される負担限度額の上限が引き上げになりました。(払い戻しには、区役所での手続きが必要)

区分 負担限度額
同一世帯内の第一号被保険者に現役並みに所得相当者がいる場合 44,400円
(世帯)

※新設
世帯内のどなたかが市区町村税を課税されている方 37,200円
(世帯)
世帯の全員が市区町村税を課税されてない方 24,600円
(世帯)
世帯の全員が市区町村税を課税されてない方で、合計所得金額と課税年金
収入の合計額が80万円以下、老齢福祉年金の受給者の方
24,600円
(世帯)
15,000円
(個人)
生活保護受給世帯 15,000円
(世帯)

※年金収入+その他の合計所得金額・383万円(二人以上の場合は520万円)以上が目安。

ポイント6 「要支援」のサービスの一部が市区町村に移行
要支援サービスのうち、訪問介護、通所介護サービスの主体が、2015年から3年間かけて市区町村に移行します。介護保険外のサービスが必要となってくるため、ボランティアやNPO団体など民間の介入や協力による地域に応じた様々なサービスが期待されています。しかし、一方で、地域格差やサービスの減少などの懸念があります。