令和4年改正精神保健及び精神障害者福祉に関する法律について【第3回】
措置入院時の入院必要性に係る審査
- 従来の医療保護入院時の審査に加え、措置入院時にも精神医療審査会において入院必要性に係る審査が必要になりました。
医療機関における虐待防止の措置の義務化
病院の管理者は、虐待防止のための研修を行ったり、相談体制の整備をしたりする必要があり、指定医はそれに協力しなければなりません。
虐待を発見した者から都道府県等への通報の義務化
- 病院内で業務従事者による障害者虐待を発見した場合は、誰もが都道府県に通報しなければなりません。
- 業務従事者は、この通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けません。
- 通報を受け、都道府県が必要と判断した場合、実地監査において、指定医は虐待を受けたと思われる患者の診察をすることがあります。
- 都道府県知事は、必要があると認める場合、病院の管理者に対して、報告や診療録等の提出を命じ、立入検査を行うことができます。また、改善計画や必要な措置を命じることができます。
- 都道府県知事は、毎年度、業務従事者による障害者虐待の状況等について公表します。
自治体の相談支援の対象の見直し(努力義務)
- 市町村等が実施する精神保健に関する相談支援について、精神障害者のほか精神保健に課題を抱える者(具体的には省令で定める予定)も対象となります。
市町村への支援に関する都道府県の責務
- 都道府県は、市町村が行う精神保健に関する相談支援に関し、市町村への必要な援助を行うよう努めなければなりません。
今回改正された内容で、医療保護入院(患者の医療に加えて保護を目的として精神保健指定医1名の診断と家族等のうち1名の同意のみを要件とする非自発的入院制度)の見直し、「入院者訪問支援事業」の創設、精神科病院における虐待防止に向けた取組の一層の推進などが法律の中に組み込まれました。今後は、改正された内容に基づき、法律を遵守し、患者さんの人権擁護、退院の促進、適正な医療が前進するよう取り組んでいく必要があると思います。
詳細については、厚生労働省のホームページに掲載されておりますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
参照
厚生労働省 令和4年精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正について