令和4年改正精神保健及び精神障害者福祉に関する法律について【第1回】
令和4年に12月に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下精神保健福祉法)の大幅な改定が行われ、段階的に施行されました。
主な改正点は以下の通りです。
今回の改正では、精神保健福祉法が障害者基本法の基本的な理念にのっとり、精神障害者の権利擁護を図るものであることを明確にするとともに、地域生活の支援の強化等により精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制を整備するためのものです。
令和6年4月1日に全面施行されましたので、改めて要点について説明していきたいと思います。
・法の目的に「権利の擁護」の追加
今回の改正では、精神障害者の権利擁護が重視されています。
まず、法の目的を定めた第1 条に「障害者基本法の基本的理念に即して、精神障害者の権利擁護を図る」旨が追加されました。権利擁護のための具体的な内容が条文に盛り込まれておりますので、後ほど触れていきます。
また、今回の改正では、令和5年4月1日、令和6年4月1日施行分に分かれておりますので、順番に説明していきたいと思います。
【令和5年4月1日より施行】
入院患者への告知に関する見直し
- 以下の入院措置を行う患者への告知について、患者さん本人だけでなくそのご家族にも告知することになりました。
・措置入院(緊急措置入院):措置診察のための通知を行った家族等に対し告知
・医療保護入院:同意を行った家族等に対し告知
- 従来からの「入院措置を採ること」「退院請求に関すること」に加えて、「入院措置を採る理由」も告知することになりました。
家族が虐待の加害者である場合の対応
- 医療保護入院の同意や退院請求を行うことができる「家族等」からDVや虐待の加害者を除くことになりました。
- 市町村長は同意の事務に関して、関係機関等に必要な事項を照会できます。
- 当該家族が唯一の家族である場合、医療機関は市町村⾧同意の申請ができるようになりました。