反致について【第3回】
大韓民国民法
次に被相続人が大韓民国籍を有していた場合ですが、この場合にも反致ではなく、大韓民国民法が適用されることになります(ただし、被相続人が遺言書で相続について日本法による遺言をしていた場合には、その遺言に従い日本の民法の定めによることになります。)。
日本と大韓民国における相続に関しては、よく似ているところもありますが決定的に違うところもありますので注意が必要です。
具体的には、夫婦に子供がなく被相続人に兄弟姉妹がいた場合、日本では配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の相続分があります。
韓国民法では被相続人の兄弟姉妹には相続権がありませんが(大韓民国民法1003条1項)、配偶者には代襲相続権が認められています(1003条2項)。
それってどういうことと頭に?マークがついたそこのあなた!日本とは違って韓国では、長男亡き後も義理の両親をけなげに介護し続けた妻は、両親が死亡して相続が発生した時、妻が亡き夫の相続権を代わって相続できることになっているのです。その他にも配偶者の相続分については、日本民法とは異なっていますので注意が必要です(大韓民国民法1009条)。
このようなことから、皆さんが後見人等になり、本人の配偶者が外国籍を有している人や、被後見人自身が外国籍を有している人である場合には、
前もって専門家の援助を受けながら後見業務を行っていくことが不可欠と思われます。