反致について【第2回】
相続の問題
意外と厄介なものが相続に関すること問題です。
通則法36条によれば、「相続は、被相続人の本国法による。」と定められています。日本人と国際結婚して日本で生活している外国籍の配偶者(いわゆる婚姻ビザを有している人等)や特別在留許可を受けて日本で生活している在日外国人の人が死亡し相続が開始すると、先ほどの反致によって日本法が逆指名されない限り被相続人の本国法が適用されることになります。
本国法が適用されるということは相続人の範囲や相続分さらには遺産分割の方法等、広い範囲で日本の法律と異なった取り扱いが必要となってきます。
まず、被相続人がアメリカ国籍を有する場合(日本法への逆指名はなく)、おそらく皆さんは途方に暮れることになるのではないかと思います。アメリカやヨーロッパ等では、本人の死亡によって当然に相続人が相続する制度にはなっていないのです。では、どうなるかというと相続人が相続財産を受け継ぐ前に日本の破産手続きのように破産管財人にあたる人が裁判所から選任され、相続財産(財団)を管理し、借金等の負債があれば清算した上で相続人に引き継がれることになります(これを「プロベート(Probate)」といいます)。日本の相続手続きとは全く異なっていますので、専門家に依頼して解決する他ないかもしれません。