「契約」に関する豆知識 (第3回)

「契約」書面で交わす必要があるの?

では、契約は必ずしも書面で交わさなければならないのでしょうか?
冒頭で紹介したように、スーパーでの買い物は書面でなくても成立しており、
「契約」だから必ずしも書面を交わすことが必要という訳ではなく、単なる口約束でも互いの合意があれば契約は成立します。
ただし、重要な事柄ならば、たとえ親しい間柄であっても後のトラブルを避けるために書面に残しておくのがよいでしょう。

契約の種類によっては書面にすることが必須である契約もあります。
以前、みると通信で紹介した、『任意後見契約』は、公証役場に行き、
「公正証書」という正式な書面にて作成しなければ効力が生じないことが法律上で定められています。
他にも、「特定商取引法」という法律では、訪問販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)・特定継続的役務提供(例:エステティックサロン、語学教室、結婚相手紹介サービス)・業務提供誘引販売取引(いわゆるモニター商法)・訪問購入(訪問買取)によって取引を行う場合には、事業者は法定された書面を交付する義務があると定めています。

これらの取引を行った場合、一定期間内であれば、無条件で契約の申込を撤回したり契約を解除することができます。
いわゆる『クーリングオフ』の制度です。
不要な契約は行わないことが一番ですが、
”冷静になって考え直したら、やっぱり契約をやめたい”
といったようなときには、この制度を利用すると良いでしょう。
このように、社会にはさまざまな契約と、それに伴うルールが定められており、私たちの暮らしが成り立っているのです。

「成年後見制度」は意義のある制度

最後に、少しだけ、成年後見制度に関連することに触れておきましょう。

後見人のお仕事をしている中で、ご本人がよく理解せずに不必要な契約をしたり、
不利益な内容の契約をしてしまったときなどには、代理権や取消権を使って、契約を解除したり取消しを行ったりします。

代理権などの詳細については、下記のみると通信をご参照ください!

→ 制度の支援範囲

→ Q&A その3 成年後見(法定後見)の3類型について

 

これは、成年後見制度を利用していることで、
ご本人の判断能力が十分ではない状態であることが公的に認められているため、
後見人等が必要な処置をとることができるのです。
成年後見制度は、ご本人の大事な財産などを守ることができる、意義のある制度だといえるのではないでしょうか。