医療保護入院について 第2回

第2回 医療保護入院者の退院促進のための措置

平成25年精神保健福祉法改正に伴い、精神科病院の管理者には以下の事項が義務付けられました。早期退院を目指すための取り組みです。

1. 退院後生活環境相談員の選任

医療保護入院者の退院に向けた相談支援や地域援助事業者の紹介、円滑な地域生活への移行のための退院後の居住の場の確保、日中活動を行うサービスの紹介等の調整業務を行う「退院後生活環境相談員」を精神保健福祉士等から選任します。

(1) 役割

  • 個々の医療保護入院者の退院支援のための取組において中心的な役割を果たす。
  • 医師の指導を受けつつ、多職種連携のための調整や行政機関を含む院外の機関との調整に努める。

(2) 配置

  • 配置の目安:退院後生活環境相談員1人につき、概ね50人以下の医療保護入院者を担当。
  • 医療保護入院者1人につき1人の退院後生活環境相談員を入院後7日以内に選任

(3) 業務内容

  • 入院時に本人及び家族等に対して、退院後生活環境相談員として選任されたことや退院促進に関する措置について説明
  • 退院に向けた相談支援業務
  • 退院調整に関する業務

2. 地域援助事業者の紹介

医療保護入院者が退院後に利用する障害福祉サービスおよび介護サービスについて退院前から相談し、医療保護入院者がスムーズに地域生活に移行できるよう、市区町村が指定している相談支援事業所等の事業内容(※1)や、事業の利用に向けた相談援助をおこなう『地域援助事業者』(※2)を紹介するように努める必要があります。

※1障害福祉サービスを利用するためにサービス等利用計画を作成したり、作成した計画が最適かどうか振り返り、必要であれば見直しや修正を行いより良い生活を送れるよう支援するサービス。

※2障害福祉サービスや介護サービスを退院後円滑に利用できるよう相談援助を行う者。

3. 医療保護入院者退院支援委員会の設置

病院において医療保護入院者の入院の必要性を審議する体制を整備するとともに、入院が必要とされる場合の推定される入院期間を明確化し、退院に向けた取り組みを審議する体制を整備し、病院における退院促進に向けた取り組みを推進するために設置しなければなりません。

(1) 対象者

  • 入院診療計画書に記載した推定される入院期間を計画するもの(在院1年未満)
  • 委員会の審議で設定された推定される入院期間を経過するもの(在院1年未満)
  • 病院の管理者が委員会での審議が必要と認めるもの(在院1年以上)

(2) 参加者

  • 主治医、看護職員、退院後生活環境相談員、医療保護入院者、家族、地域援助事
  • 業者、その他退院後の生活環境に関わるもの等

(3) 審議内容

  • 医療保護入院者の入院継続の必要性の有無とその理由
  • 入院継続が必要な場合の推定される入院期間
  • 退院に向けた取組等

(4) 審議結果

  • 出来るだけ速やかに本人並びに委員会への出席要請を行ったものへ通知する。
  • 委員会における審議の結果、入院の必要性が認められない場合には、速やかに退院に向けた手続きを取る。
  • 審議結果は、定期病状報告の際に直近の審議時のものを添付する。

以上のような取り組みを義務付けることで、長期入院になることを予防し、早期に退院し、安定して地域生活を送れるよう支援を行っていきます。