成年後見人の報酬にまつわるお話し 第2回 ~後見人の報酬は、いつ、誰が決めるのか~
さて、前回のコラムで、後見人の報酬を決めるのは家庭裁判所であることをお話ししました。
今回は後見人の具体的な報酬の金額についてのお話しです。
実は、家庭裁判所が報酬を決定するにあたり、その算定に関する具体的な明細等は公表されません。
そのため、裁判所が発表している報酬算定の基準を参考にするしかなく、これまでは、下記ホームページにて公開されている「報酬額の目安」が基準となっていました。
当該「報酬額の目安」によると、その算定方法としては、被後見人の財産高を基準として月額の報酬金額を決定する方式となっています。
東京家庭裁判所 東京家庭裁判所立川支部「成年後見人等の報酬額のめやす」(平成25年1月1日)
なお、我が北九州成年後見センターの受任案件より報酬の実績をご紹介しますと、平成30年度の報酬平均は、月額2万5000円でした。
上記のとおり、今までは、基本的に被後見人の財産の金額に応じ報酬額を定められていたので、実際にどのようなことを行ったのか実働に則していない等の批判があり、現在、当該基準を見直す動きが進んでいます。
そして、最高裁判所の案では、後見人が必ず実施する「基本的事務」と、必要に応じて行う「付加的事務」に業務を分類します。
具体的には、つぎのとおりです。
「基本的事務」・・・
財産の調査や収支の確認、利用者の心身や生活状況の把握などが該当し、これらの職務を行わなかった場合は後見人の報酬を減額。
後見人の就任時や継続中、終了時で実施するべき財産管理、生活支援ごとにひとくくりにして報酬を決める。
「付加的事務」・・・
不動産の売却や遺産分割協議、福祉サービスの契約が含まれ、多く実施すれば報酬を増額する。利用者の財産額を基準にする方法を基本的には実施しないが、付加的事務のうち、財産管理事項の報酬は利用者の経済的な利益の額も考慮する。
この報酬基準の見直しにより、後見人が実際に行った職務に対して報酬が付与されるようになるため、これまであまり重視されてこなかった身上監護の仕事についても正当に評価されることになると期待されています。
また、裁判所は報酬額をある程度予測できるようにすることも検討する方針であり、今まで分かりづらかった報酬の算定根拠について透明性が高まるかもしれません。
上記の報酬基準の見直しについては、今後、詳しい情報がわかり次第、更新していきたいと思います。
次回のコラムは、後見制度にまつわる助成金制度のお話しです。